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【ネタバレあり】アルスラーン戦記03巻『落日悲歌』レビュー【小説/完結/田中芳樹】

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ここは、

田中芳樹 著
アルスラーン戦記03巻『落日悲歌』

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アルスラーン戦記全16巻完全レビュー

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アルスラーン戦記16巻『天涯無限』

【ネタバレあり】アルスラーン戦記03巻『落日悲歌』レビュー【小説/完結/田中芳樹】

 

第03巻『落日悲歌』 1987年

 

第一章 国境の河

カーヴェリー河を越えパルス領に侵攻してきたシンドゥラ軍50,000名を率いるは、シンドゥラ国王(ラージャ)カリカーラ二世の息子の一人、ラジェンドラ王子。腹違いの兄弟ガーデーヴィ王子と次期国王の座を巡って権力闘争を繰り広げており、自身の能力を示すため、領土拡大を目論んでいた。

陽気な王子、ラジェンドラ登場。このお調子者なキャラクターが最後ああなるとは、意外過ぎて全く予想できなかった。

しかし、戦いにおいて注意すべき三つの理(天の時・地の利・人の和)を欠いていたシンドゥラ軍はナルサスの策に嵌り、ラジェンドラはアルスラーン率いるパルス軍の捕虜となってしまう。だが、アルスラーンはラジェンドラを害さず、盟約を申し出た。ルシタニア軍との戦いに集中したいパルス軍は、ラジェンドラVSガーデーヴィの闘争に手を貸すことにより、東方方面の憂いを取り除いておきたかったのだ。ラジェンドラにとっても渡りに船であったこの盟約は即座に結ばれ、ここに義兄弟の契りが交わされた。パルス歴320年のことである。

問題ばかり起こす義兄と、そのたびに優しく許す義弟(苦笑)

一方、シンドゥラ本国ではカリカーラ王が床に伏しており、ガーデーヴィとその義父である世襲宰相(ペーシュワー)マヘーンドラが国政を握っていた。ラジェンドラがパルス軍と手を組んだことを知ったガーデーヴィは怒り狂い、軍隊を呼集。その中にはシンドゥラ国の秘密兵器として他国に恐れられる、戦象部隊も含まれていた。。

シンドゥラはインドがモチーフなので、甲冑を着せた象の部隊がいる。あの重量感で突撃されたら、歩兵はひとたまりもないわな。

 

第二章 河をこえて

キシュワードをペシャワール城の守りに残し、10,000名の兵士を引き連れシンドゥラ領へ入ったアルスラーン一行。カーヴェリー河の渡河を待ち受けていたガーデーヴィ軍先遣隊15,000名を、ダリューンの活躍により退ける。その後アルスラーン軍とラジェンドラ軍は別行動をとってシンドゥラ国王都ウライユールを目指すこととなり、案内役として、シンドゥラ人ジャスワントがアルスラーン一行に同行。ジャスワントはラジェンドラの命を受けたアルスラーンの監視役だったが、実はガーデーヴィがラジェンドラ軍に紛れ込ませた間者でもあった。。

黒豹のようにしなやかな男、ジャスワント登場。ガーデーヴィの妻と昔恋仲だったという過去を持っている。

ウライユールへと続く山間街道を進むアルスラーン軍は、要衝の一つであるグジャラート城砦を攻め落とす作戦を立てていた。作戦を漏れ聞いたジャスワントはガーデーヴィ軍へ密告し罠を張るが、それを見越したナルサスによって逆に罠に嵌り、ギーヴと一騎打ちに。本来の実力はほぼ拮抗しているギーヴとジャスワントであったが、精神的に余裕のあったギーヴに軍配が上がる。グジャラート城砦は落城、ジャスワントは縄をかけられたが、アルスラーンの恩情によって解放。ガーデーヴィのもとへ逃げ帰ることとなった。

アルスラーンの敵に対する優しさは幾度も出てくるけど、その優しさは色々な意味で危うい…。

グジャラート城砦の陥落を知ったガーデーヴィは、いよいよ主力部隊の投入を決断。ウライユールに30,000名を残し、150,000名もの兵士と500頭にも及ぶ戦象たちを、グジャラート城砦方面に進撃させた。しかし、そこへラジェンドラ軍が割って入り、北からアルスラーン軍・ガーデーヴィ主力部隊・ラジェンドラ軍・ウライユールに残るガーデーヴィ軍残存兵力…と、各軍が入り乱れる事態が発生。各軍とも下手に動けず、戦況は一時膠着状態に。

思わぬ休養の時を過ごすグジャラート城砦の城壁において、若き鷹告死天使を伴ったアルスラーンは、銀仮面の男の正体、そして自身の生い立ちについて考えこんでいた。迎えにきたダリューンに対し、私はいったい誰なのだろうと問うアルスラーン。動揺するダリューンであったが、殿下の正体は知っている、自分にとって大事な主君であると答え、アルスラーンを労わる。ダリューンへ感謝の意を伝えたアルスラーンのその瞳からは、銀色の波があふれて頬につたわっていた…。

名場面。アルスラーンとダリューンの絆が、どんどん深まっていく。

 

 

第三章 落日悲歌

ガーデーヴィ軍が、ラジェンドラ軍を標的として動いた。決戦の地はチャンディガルの野。剣と槍と盾がひらめき鳴り響き、舞い上がった砂煙が血で赤黒く染め上げられた。数の上ではガーデーヴィ軍が圧倒しているものの、チャンディガルの野はいくつかの川に分断されているため、地形を利用したラジェンドラ軍がやや有利に。しかし、戦象部隊が動き出すと戦況は一変。破壊と悪意のかたまりがラジェンドラ軍を押し潰し、踏みにじり、蹴り砕いた。

1頭でも人間にとっては驚異なのに、そんなのが500頭もいたら普通は勝てない。。皮膚が固くて矢も刺さらないし。

惨敗しかけたラジェンドラ軍であったが、パルス軍が到着。ガーデーヴィ軍の側面に襲い掛かり、バフマンの老練な用兵術によって戦況の天秤をこちら側へ傾けた。更にバフマンは、戦象部隊を突出させてガーデーヴィ軍から離すことに成功する。そこへナルサスの策が発動。投石機を利用した力で毒を塗った長槍を打ち込み、戦象の固い皮膚を突き破った。戦象部隊を失ったガーデーヴィ軍は壊滅寸前。しかし、ガーデーヴィを捕えようとしたダリューンを、ジャスワントが阻止。ガーデーヴィ・ジャスワントは砂塵に紛れ戦場を離脱。ファランギースが弓を構えるも、アルスラーンはそれを止め、黙って見送ったのであった。

流石は百戦錬磨の万騎長。戦場でのバフマンは非常にカッコいい。そしてジャスワントは、これで2回アルスラーンに命を救われたことになる。

カリカーラ王が意識を取り戻した為、王子同士の戦闘は一時中断。それぞれの代表者同士の一騎打ち「神前決闘(アディカラーニャ)」にて決着をつけることに。ラジェンドラ軍の代表者は、黒衣の騎士ダリューン。ガーデーヴィ軍の代表者は、バハードゥル。人間とは思えない体躯を持ち、痛みを感じることも無い野獣の様なバハードゥルに対し、かつてない苦戦を強いられたダリューンであったが、何とか勝利。この戦いに勝利したことにより、ダリューンは「戦士のなかの戦士(マルダーンフ・マルダーン)」に続き「猛虎将軍(ショラ・セーナニー)」という新たな異名を受けた。

アルスラーン戦記全16巻の中で、ダリューンがここまで苦戦したのは4人だけ。一人はヒルメス、一人はこのバハードゥル。そしてトゥラーンのタルハーン、最後の一人は…。

神前決闘はラジェンドラに軍配が上がった。しかし、ガーデーヴィはそれを認めず、決闘場はラジェンドラ軍とガーデーヴィ軍の戦いの場と化す。乱戦のさなか、アルスラーンを避難させようと奮闘していたバフマンの左胸へ、ガーデーヴィが投じた槍が突き刺さった。アルスラーンに関する秘密とは何か、最後まで語ることなく、バフマンは逝った。。

万騎長最年長だったバフマンが、ここで戦死。これで残る万騎長はダリューン・キシュワード・クバード・サームの4名のみ。たった3巻にして、12名が1/3になってしまった。

 

 

第四章 ふたたび河をこえて

カリカーラ王は心の衝撃から急激に衰弱し、ラジェンドラに王位を譲り死去。バフマン、そして義父であるマヘーンドラを殺害したガーデーヴィは逃亡したが、数日後、妻であるサリーマの密告により捕えられる。サリーマは父マヘーンドラを殺した夫を許せず、仇を討ったのであった。ガーデーヴィは処刑され、報酬を受け取ったアルスラーン軍はパルスへ凱旋することとなった。

ガーデーヴィは、良い部分が一つも無いキャラクターだった。。

帰還途中のアルスラーン軍に対し、ラジェンドラ軍20,000名が後背から襲い掛かった。ラジェンドラはアルスラーンに助けられた恩を仇で返し、パルス領の東方地域を我が物にしようと画策したのだ。

ラジェンドラ、、あれだけアルスラーンに助けられたくせに、酷すぎ(苦笑)

しかし、ナルサスはラジェンドラの裏切りを看破していた。罠を張り待ち構えていたアルスラーン軍は、ラジェンドラ軍を一蹴。ラジェンドラは再びアルスラーンの捕虜となった。

そして、弱い(笑)

3年の不可侵条約を結びラジェンドラを解放したアルスラーンのもとに、一騎の騎影が近づいてきた。褐色の肌をしたシンドゥラの若者、ジャスワントである。アルスラーンに跪き、忠誠を誓うジャスワント。アルスラーンはまた一人、頼りになる仲間を手に入れた。

これで8人目の16翼将がアルスラーン陣営に。万騎長が減っていくのとは対照的に、16翼将が増えていく。アンドラゴラスからアルスラーンへ、、時代を作る者が変わる流れを、表しているのだろう。

 

 

第五章 冬の終り

王都エクバターナでは、大司教ボダンが立て籠もるザーブル城を攻めるべく、ギスカールの命を受けたヒルメスが軍を整えていた。聖堂騎士団(テンペレシオンス)を討つ大義名分を得たヒルメスは、近い将来自身の兵として活用すべくパルス兵を徴募。カーラーンとサームの元部下たちを中心に34,600名(騎兵9,200名・歩兵25,400名)の兵士を集め、進発した。さらに道中において隻眼の万騎長クバードを見つけたサームが彼に協力を依頼。暇つぶしになると考えたクバードが、サームの客人として一行に加わる。

ほらふきクバード!ダリューンの次に強いクバードが、ここから本格的に活躍し始める。クバードが出ると、話が面白くなるんだよねぇ。

ザーブル城の前で神旗を焼き、聖堂騎士団をおびき出したヒルメス軍。ヒルメス・サーム、そしてティシュトリヤ神の如きクバードの剛力の前に、聖堂騎士団は撃砕。2,000名を超す死者を出し、ザーブル城へ敗走した。が、ヒルメスとそりが合わないと感じたクバードはこの一戦をもってヒルメス軍を離脱。麦酒(フカー)を飲みつつ、ゆっくりと荒野を去っていったのであった。

「長くもない人生、気にくわぬ主君に仕えてすり減らすぐらい、くだらぬ生き方はない」…クバードの台詞は、名言が多い。

パルス歴321年3月末、王太子アルスラーンの名において、パルス全土へ二つの布告がなされた。「ルシタニア追討令」と「奴隷制度廃止令」である。政治的・軍事的・歴史的にこの布告がどう評価されるか…14歳6ヶ月の少年の前には、まだいくつもの壁が立ちはだかっていた。。

アルスラーン戦記03巻『落日悲歌』 完

ここから、物語は加速する…。

 

 

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